みなさんは総量規制という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
総量規制とは借り入れの限度額を設定する法律で、2010年から導入されました。
借り入れに適用される法律なのでクレジットカードとも関係があり、場合によっては新規発行ができなくなってしまう場合もあります。
この記事ではクレジットカードの審査に総量規制がどのように関係するのかなどについて解説していきたいと思います。
クレジットカード審査に総量規制は影響があるか?
借り入れの限度額を定める総量規定はクレジットカードと深い関係があります。
では総量規定がクレジットカード審査にどのような影響を与えるのでしょうか?
詳しく見ていきましょう。
クレジットカードの審査に総量規制は関係ある?
クレジットカードの審査と総量規制は大きく関係しています。
総量規定で定められている年収の3分の1以上の借り入れをした状態でクレジットカードに新規申し込みをしても100%審査は通りません。
クレジットカードはショッピングなど支払いを一時的に立て替えてくれるものです。
ですので返済能力が低いと判断されてしまうと審査で落とされてしまいます。
カード発行前に過度な借り入れをしている利用者は、クレジットカード会社が貸し倒れてしまうリスクが高いので、新規でクレジットカードを発行してもらうのは難しいでしょう。
キャッシング枠を使わなければ問題なし
何枚クレジットカードを持っていてもキャッシング枠を使わなければ、総量規制に引っかかる心配はありません。
過度に多くのカードに新規申し込みをすると信用情報に響く可能性がありますが、持っているだけなんの影響もないのです。
ただし住宅ローンなどの審査の際、悪影響になる可能性があるので注意が必要です。
総量規制とは?
普段私たちには耳馴染みのない言葉「総量規制」。
実はこれクレジットカードやカードローンに関係する法律なのです。
そんな総量規制について詳しくみていきましょう。
総量規制とは?
総量規制とは2010年に指定された法律で、カードローン会社やクレジットカード会社は利用者年収の3分の1を超える金額を貸し付けることを禁止しています。
例えば年収が300万の利用者に対しては年収の3分の1の金額である100万円が限度額となり、それを超える貸し付けを行うことができないのです、
仮にこの総量規制に違反した場合、貸し付けを行ったクレジットカード会社やカードローン会社は罰せられてしまいます。
総量規制は複数の会社から借り入れをしていても、一社からの借り入れでも金額は変わりません。
この総量規制はあくまで貸金業法への適用となっており、消費者金融、ローン会社、クレジットカードのキャッシングなどが対象となります。
証明書の提出を求められる場合も
総量規制は貸金企業に対して、利用者の所得証明書や年収証明書など収入を証明する書類の提出を求めるように義務付けました。
証明書の提出が必要な場合は以下の2パターンです。
- 一社からの借り入れが50万円を超える、または複数の会社から100万円を超える借り入れをしている。
- 主婦や学生など安定した収入のない利用者が借り入れを行う。
複数の会社から100万を超える借り入れを行うと3ヶ月に一度、CICやJICCなどの「信用情報機関」への情報照会が行われます。
その際に提出された証明書を元に、返済能力があるのかを審査するのです。
2の専業主婦や学生が借り入れを行う際も総量規制は適用されます。
その場合、配偶者の年収が対象になりますので、配偶者の年収の3分の1を超える借り入れを行うことはできません。
総量規制の例外もある?
中には総量規制が適用されない貸し付けがあります。
総量規制の例外となる場合は以下の3パターンです。
- 配偶者と合わせた年収の3分の1以下の貸し付け
- 個人事業主に対する貸し付け
- 緊急医療費の貸し付け
以上の場合は総量規制の対象外となりますので年収の3分の1を超える貸し付けを行うことができます。
利率の引き下げも行われた?
総量規制は貸し付けの限度額を決めただけでなく、金利の引き下げも行いました。
総量規制が導入されるとグレーゾーン金利が撤廃されます。
グレーゾーン金利とは利息制限法で定められている利率15〜20%を超えているのですが、出資法で罰せられる金利29.2%以下のため罰せられない金利のことです。
これにより金利の上限が29.2%から20%まで引き下げられました。
総量規制に関係のある借り入れ
総量規制は無担保で融資を行う借り入れに対して適用されます。
総量規制に関係のある借り入れ2パターンについて詳しく見ていきましょう。
クレジットカードのキャッシング利用枠
クレジットカードに付帯しているキャッシング枠は総量規制の対象となります。
クレジットカードのキャッシング利用枠には貸金業法が適用されます。
そのためクレジットカードのキャッシング機能を年収の3分の1以上利用すると、
新たにクレジットカードを発行することが難しくなってきます。
ただし前章でも解説しましたが、キャッシング利用枠は利用しないと借り入れが行われていない状態なので、実際に使わないと総量規制に影響することはありません。
カードローン
消費者金融などのカードローンも貸金業法が適用されるため総量規制の対象となります。
アコム、プロミスなどの金貸会社からの借り入れは総量規制の対象になるため、過度な借り入れはできません。
他にも例外はありますが、基本的にはカードローンを扱う貸金業者、クレジットカードを扱っている信販会社からの借り入れは総量規制の対象になると覚えておきましょう。
総量規制に関係のない借り入れ
次に総量規制の対象にならない、関係のない借り入れについて説明します。
上手く使えばより多くの借り入れを行うことができるかもしれません。
銀行系カードの借り入れ
銀行が発行するクレジットカードのキャッシング利用枠、銀行カードローンは総量規制の対象にはなりません。
銀行には銀行法と呼ばれる法律が適用されるため、貸金業法の一部である総量規制は適用されないのです。
そのため消費者金融などから過度な借り入れをしていても、銀行側が返済能力があると判断すれば借り入れを行うことができるのです。
しかし中には自主規制を行なっている銀行もあります。
三井住友銀行のカードローンでは借り入れ限度額を年収の3分の1以下に設定、利用限度額の設定、証明書提出の義務化などを行なっています。
住宅、自動車ローンなど
住宅や自動車ローンなどの借り入れは総量規制の対象外となります。
これらのローンの多くは銀行や信用組合のローンを利用していますので貸金業法が適用されないのです。
おまとめローン
おまとめローンとは銀行が多重債務者に向けて低金利で借り入れを一本化するサービスです。
複数の会社から一本化することにより、月々の支払いが楽になるだけでなく、一般的な消費者金融よりも金利が低いので支払額が減るというメリットもあります。
債務整理とも異なり、ブラックリストに登録されることもありません。
このおまとめローンのように顧客が一方的に有利になるような借り入れに対しては総量規制が適用されません。
そのため年収の3分の1を超える借り入れを行うことも可能です。
クレジットカードのショッピング枠
クレジットカードのショッピング枠を利用しても総量規制の対象にはなりません。
クレジットカードのショッピング枠には月賦販売法が適用されるため、貸金業法は無関係なのです。
そのため利用額の上限などは特にありませんので、自分が返済できる分だけ利用することができます。
ただしリボ払い、ボーナス払い、分割払いなどの場合月賦販売法により限度額が定められています。
総量規制が限界でも審査に通す方法
総量規制ギリギリの状態でも新しいクレジットカードがほしいという方はたくさんいるかと思います。
そんな方のために総量規制が限界でも審査を通過する方法について解説します。
銀行系のカードに申し込む
前章でも紹介した通り銀行系のカードは総量規制の対象にはなりません。
ですので銀行が発行しているクレジットカードに新規申し込みをするのも一つの手です。
また消費者金融などの上限金利が18%なのに対して銀行の上限金利は14.5%と比較的負担も少なく利用できます。
銀行系のクレジットカードとしては三井住友カード、イオン銀行カードなどが有名ですね。
キャッシング利用枠を付けない
キャッシング機能を付けないで新規申し込みをすると、カードを発行してくれるかもしれません。
日本国内で発行されているクレジットカードのほとんどはキャッシング機能が付いています。
ですのでキャッシング枠を0にして申し込むか、アメックスなどのそもそもキャッシング枠が付帯されていないカードに申し込んでみるのもおススメです。
そうすると審査で好印象を与えることができる場合もあります。
中には限界間際でも発行してくれるカード会社も?
クレジットカードの審査基準はカード会社によって異なります。
ですのでクレジットカード会社の中には総量規制限界間際でも発行してくれる会社もあるかもしれません。
新規申し込みをする前にネットで比較的審査が甘い会社を調べてみると良いでしょう。
まとめ
ここまでクレジットカードと総量規制の関係について解説してきました。
今回のポイントは以下の3点です。
-
- 総量規制はクレジットカードの審査に大きく影響する
- 総量規制対象外になる借り入れも存在
総量規制が限界でもクレジットカードを新規発行する方法はある
過度な借り入れをして総量規制に引っかかってしまうとクレジットカードの新規発行することができなくなってしまうだけでなく、信用情報も傷ついてしまいます。
そうならないためにも自分の年収とお金の用途を明確にし、計画的に利用していきましょう。